Posted on 2018/11/16 by KAKUKI PROJECT

飛騨・古川の町並みの景観は匠と町民魂から守られている

飛騨市古川町は、飛騨の匠の技が生きた古い町並みのなかを散策できる歴史のある町です。古川といえば、「君の名は」の大ヒットによって全国的に認知度が高まり、聖地巡礼の観光スポットとして有名です。



参考:http://blog.livedoor.jp/touyokojunrei-yokofuji3/archives/65073399.html
【「君の名は」で滝君が調べ物をしていた図書館のモデルである飛騨市図書館】
 
飛騨市は、岐阜県の最北部(高山市の北約15km)に位置する人口約3万人の市です。市の面積の約90%は森林で、その中心にある町が古川町で、人口は約16,000 人です。
古川町の歴史は、幕府の直轄領の増島城(ますしまじょう)の城下町として武家と町人達によって発展してきました。増島城主の金森氏によって、マス目に道が配され「壱之町」「弐之町」「三之町」という区割りがされ、瀬戸川の北側が武家町、南側が町人町と区分けされます。
町のシンボルはやはり瀬戸川と大イチョウ、そしてその川沿いに並ぶ白漆喰の酒蔵がつくる景観でしょう。

大イチョウは、現在の飛騨の匠文化館の場所にあり、かつての福全寺にあったもので樹齢200年を数える大木です。


【瀬戸川名物「鯉」鯉がいることで景観を美しく保ち、観光客を招いてくれます。】
 
瀬戸川は農業用水として人工的に作られた川です。金森氏が増島城と城下町の造成を始めた際、古川を訪れた旅僧侶と石職人の瀬戸屋源兵衛が出会い、瀬戸谷の勧めで無人だった福全寺に入寺して住職となります。このお坊さん大変立派な方で、金森氏から古寺を壊して、寺院を新たに建立し寄進すると言われたのですが、寺よりも町民のために用水路を開き新田を開発することをお願いしたのです。その時造成されたのが現在の瀬戸川です。瀬戸の名前は工事にあたった瀬戸屋源兵衛からとったものです。その他にも古川の町づくりに大きく貢献しました。瀬戸川に流れる水は、宮川から引いたものではなく、その支流の荒城川から引いておりその源流は、山の尾根の湧水です。だから透明度の高い新鮮で美味しい水が流れます。このおいしい水が育むのが、古川の名物「蓬莱」と「白真弓」なのです。美味しい水と、美味しい水で育つ酒米でつくるこの酒は、全国の名酒に入る人気酒です。
 
蓬莱|渡辺酒造>http://www.sake-hourai.co.jp/
白真弓|蒲酒造場>http://www.yancha.com/
 
古川の郷土の特色を語るうえで忘れてはいけない文化が「古川祭り」です。400年の歴史がありユネスコ無形文化遺産にも登録されました。春の訪れを知らせ、国家安泰・五穀豊穣を願い4月19日の夜から20日に行われる例祭です。
起源は定かではないそうですが、徳川将軍直轄の潘として国家を讃え増々の発展を願ったものと思われます。古川祭りは盛大に行われ、数百人のさらし姿の男達が付け太鼓と呼ばれる小太鼓を大太鼓の櫓にめがけて突っ込む攻防戦が魅力の「起し太鼓」が夜の古川を賑わせます。その翌朝は屋台の行列が町を移動し、飛騨の匠の技量と、京都のからくり人形が加わり他にはない独自の屋台の姿を見ることが出来ます。
 

【町の案内をするのは、飛騨市の都竹淳也市長! 町にとっても詳しい! 飛騨の匠文化館には、起し太鼓の展示と体験(100円)があります】
  

【屋台蔵は匠と左官の高度な技術によって建てられた。】
 
屋台蔵は30㎝くらいの壁厚で、蔵内の温湿度は常時一定に保たれます。この左官蔵のすごいところは、大きく重い門に関わらず蝶番が3箇所でも、扉の反りや傾きはなく、100年以上たっても丈夫さを保っていることです。当時の職人の高度な技量が窺い知れます。扉の文様は、10ある屋台の名前を示しています。
 
こんな屋台が町を巡ります>http://www.okosidaiko.com/yatai.html
 
福全寺あとに建てられた「飛騨の匠文化館」では、古川の町並みの形成と警官の特徴や、大工の技量が模型や資料で展示されています。古川の町は、実は明治37年の大火で市街地のほぼ全域が焼失という悲劇がありました。今見ることが出来るのは、その後再生された町のかたちです。再生後の町家建築は伝統をよく引き継ぐと共に、さらに匠の技を独自に進化させたデザインでした。古川町民には「そうば(住民の共通感覚)くずし」を嫌うという気質があり、町民が自主的に調和のとれた景観を守ってきたので町屋建築としては古川特有の匠の技と伝統が受け継がれたのです。
 
町並みの独自のデザインというのが、「雲形肘木」と呼ばれる、町屋正面の軒に見られる繰型(くりがた)です。大工一人一人が自分の雲形をもっていて、自分が建てた証として雲形肘木を残しています。飛騨の匠文化館の建設では飛騨の匠30人が初めて集結し、広縁の屋根にそれぞれの職人の雲形肘木を残しており、ひとつひとつ形の違う雲形肘木を一堂に見ることが出来ます。職人の技が成せる匠たちの美しい建物をぜひご覧ください。
 

 
またもうひとつの特徴として作りの堅牢さが見られます。飛騨五木のスギやヒノキ、ケヤキをふんだんに使い、外の木部には漆と漆喰とで木を保護し、金物を一切使わない匠の建物は、長くその美しさと堅牢さを持ち続けることが出来るので、匠の技によって古川の町並みは昔のまま今も変わらず町の人たちによって保存されているのです。
 

 

 
伝統的な組み木の技術を、模型で見ることもできます。実際に組み合わせてみると、見た目の単純さと裏腹にその技術の複雑さに驚きます。

 

【組み木のパーツ。一本だけ中央の溝の深さが違っており、その一本が組み木の中心に来ます。】
 
 
|飛騨市の新しい挑戦
 
飛騨市の広域に広がる広葉樹の森は、飛騨市全土の9割以上にも及び、そのまた7割が広葉樹です。しかし素材生産としての収益は、森の3割にあたる針葉樹による構造材としての取り扱いがほとんどである、というのが現状です。広葉樹は2次林で、小径木ばかりで手入れがされていないのが現状です。そのため幅が狭く、虫食いや割れ、色ムラの多い小径木は家具用材として使えないとして木材市場では扱われず、ほとんどがチップやパルプとして、相場価格立米3~5000円程度と安く取引されます。
 
しかし、多様な広葉樹からなる飛騨の森の木は、もっと他の使い道があるはずではないか。
そうした全国、世界へと飛騨の広葉樹のものづくりを発信しているのが古川の「飛騨の森でクマは踊る(ヒダクマ)」またヒダクマが経営する「FabCafe」です。ヒダクマから新しい森林活用の成果が生まれてきています。
 

【お話をしていただいたヒダクマ代表の松本さん】
 
(写真をクリックするとヒダクマ事例にアクセスが出来ます)

キャットタワー

パタゴニアカトラリー

スツール
 
ヒダクマでは、古くから守られてきた伝統技術と、デジタルファブリケーションやデザインなど新しい技術と感性が融合し、世界で飛騨ブランドが認知されてきています。古川はグローバルなローカルとして温故創新を体現する街に生まれ変わろうとしていました。
 
また飛騨の匠は大工だけでなく、家具産業も盛んで、、県外からのUターン、Iターンで飛騨に来て家具職人として活躍する若い職人を多く輩出しています。飛騨の木工作家のつくる作品は、丁寧につくられていて量産にはない「特別さ」があります。
 
そこで企画されたのが「ひだ木フト(ひだぎふと)」です。
他にはない特別な商品を贈ってもらいたい、と新しい飛騨ブランドが生まれました。
例えば結婚という人生の節目を飛騨の木が彩る商品。
 
【ひだ木フト|披露宴のウェルカムボードやリングピローなど、木の温もりが色を添えます】
例えば就学祝い。

【就学のお祝いに贈るランドセルと一緒に、ランドセル掛けを贈ります。(写真のT字型のスタンド)】
 
ひだ木フトの行く先は、「いいものをつくって売れる→職人の仕事が増える→木が使われる→森が活かされる」その循環にあります。地域の財産を活かし、未来の生き方と自然との共生を生み出します。 

 
ヒダクマやひだ木フトなどの飛騨市の取り組みでは、チップやパルプになってしまう不揃いの広葉樹素材も、木工作家の個別生産では、それも個性のある作品に仕立てることが出来ます。色ムラ、虫食い、割れやヒビ、それらすべて自然の造形美であり、彼らはそれを生かした作品に仕立てることを得意とします。そのかっこいい仕上がりは私たち消費者に「特別なものとの出会い」になったと感じさせてくれます。そうした木工加工の市場に出回らずにチップになっていた材と、建築家やデザイナー、作家達とをマッチングさせる流れが出来れば、飛騨の山の広葉樹の付加価値をもっと高めることにつながります。その活動が広がれば、飛騨といえば「良質な広葉樹の産地」となっていくのだろうと、飛騨市の成長の息吹を感じました。
 
 
参考
ウィキペディア「瀬戸川用水」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%80%AC%E6%88%B8%E5%B7%9D%E7%94%A8%E6%B0%B4
 
一路一会 http://www.ichiro-ichie.com/04tokai/gifu/hida_furukawa/hida_furukawa01.html
 
不楽是如何~史跡めぐりドライブ~https://minkara.carview.co.jp/userid/157690/spot/446929/
 
飛騨古川祭り2018の日程時間と見どころ!https://da-inn.com/hidahurukawamaturi-6494/
 
観光地飛騨古川のまつりを知る【飛騨古川まつり会館】http://www.okosidaiko.com/
 
飛騨の匠文化館https://www.hida-kankou.jp/spot/21/article/
 
株式会社飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ)https://hidakuma.com/
 
ひだ木フトhttps://hidagift.com/
 
研修視察企画:この度の視察は飛騨市役所林政課と岐阜県フォレスター協会と林業女子会@岐阜の協同で行われました。
飛騨市役所https://www.city.hida.gifu.jp/
岐阜県フォレスター協会https://ja-jp.facebook.com/Gifu.Foresters/
林業女子会@岐阜https://www.facebook.com/%E6%9E%97%E6%A5%AD%E5%A5%B3%E5%AD%90%E4%BC%9A%E5%B2%90%E9%98%9C-178122885614125/


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