Posted on 2019/08/16 by KAKUKI PROJECT

100年続く広葉樹の森づくり

岐阜県本巣市根尾。

HP:ウォーカープラス「桜名所お花見特集」より出典
https://hanami.walkerplus.com/detail/ar0621e26027/

樹齢1500年以上の1本桜が毎年見事な花を咲かせることでも有名な根尾は、標高800〜1000m級の山々に広葉樹が生育する緑豊かな地域です。根尾の山は冬になると雪によって山道が閉ざされ、春には豊富な雪解け水と日当たりの良さのおかげで、多様な生物が生育する森を育んでいます。この自然豊かな根尾の地で、有限会社根尾開発の小澤社長は、100年先の未来に続く広葉樹の森づくりに取り組まれています。その森づくりの一部を見学させていただきました。

【見学者と小澤社長】

|NeoWoods 根尾の広葉樹活用プロジェクト

根尾開発の広大な管理地は、広葉樹が多く生育しています。
広葉樹といっても、その樹種は多種多様です。標高の低い辺りには、サワクルミが多く、標高の高い800m辺りには、ミズメザクラやブナ、ナラ、などが多く生育しており、場所ごとに育ちやすい木の種類が違います。

【広葉樹の森を皆伐している現場。架線をかけ、効率よく集材しています。
 (広大な広葉樹林の一部を皆伐。皆伐跡には収益の高い針葉樹を植えていきます)】

現在日本の広葉樹の素材生産量は、1割ほどです。多くは細かくし、チップやパルプ、ホダギ、薪などとして利用されます。それは、広葉樹の持つ個性を全く活かすことができていないことを示しています。根尾開発でも、広葉樹のうち家具用材として取引されるのがおよそ1割で、残りは小さかったり、曲がっていたり、腐りがあったり、割れていたりして規格外だとして用材にならないため、チップなどになっています。

【細い丸太。長さを短く揃えて薪に利用されます】

しかし、広葉樹は、木色がピンクのサクラ・樹皮が美しいブナ・強度も木目も美しいナラ、ホウバ寿司で知られるホウの木というように、木目も木色も、葉も樹肌も種類によって全く違います。育ち方や育つ時間が違えば、曲がりや節、年輪なども違います。広葉樹はその個性こそ、豊かで面白いものです。家具に使えないとしても、チップではなく、器やおもちゃなど木の個性を生かした使い道はあるはずです。

【集材された広葉樹。ブナやオニグルミ、トチ、ミズメザクラ、シデなど様々な広葉樹があります】

根尾開発では、「NeoWoods」というブランドを立ち上げ、民間連携で、根尾の広葉樹を器やおもちゃなどに加工して使い手に届ける取り組みを行っています。素材生産者と製材者と家具屋が連携しているからこそ、根尾の森で育った年数を刻んだ器を消費者にお届けすることができます。

〈この器は家具屋が生産者から52年育ったと言われる木を選んでいます。木の年数を器に刻んでいます〉
HP:「NeoWoods根尾の広葉樹活用プロジェクト」より出典
http://neowoods.jp/neowood.html

【NeoWoods根尾の広葉樹活用プロジェクトとは】
オークヴィレッジ株式会社(岐阜県高山市)が地域での森林の利用に向け、モノ造りで地域産広葉樹と市場を繋ぐをテーマに、素材生産者の有限会社根尾開発と、製材業の株式会社カネモク(岐阜県高山市」)と家具生産者のオークヴィレッジが連携し、「持続可能な林業における六次産業化の仕組み」をつくっています。三社が連携することで、規格外の多様な広葉樹も、それぞれが持つ個性を生かした器やおもちゃなどに加工し、家具以外の用途を拡げ、森林資源の価値を高めています。

|太い木が欲しかったら僕じゃなくて息子にお願いして

根尾開発が所有する広葉樹の森は、広大で、見せていただいたところだけでも1000haありました。標高800mほどの山ですが、頂上から町までの林道があり、4t車が山の中を移動できる環境があります。この山は現在「択伐施業」を行っています。択伐というのは、まっすぐ育ついい木を選び、より大きくまっすぐ育つように、周辺の木を伐採して成長を促そうとする方法です。択伐によって伐採された木はチップなどに利用されます。

【100年の森づくりをしている現場です。まっすぐ大きく育とうとしている木々が見られます。細くてひょろひょろした木は択伐されることになります。】
 

小澤社長は言います。「いい木見つけたら切ってあげるよ。好きなの選んで」
そして、森の今を知らない人にできるだけ、森に来てほしいと言います。
家具製造者は「板材」としてしか見ていないので、注文した材は森にあって当たり前で、どういう場所に生えているかを気にしてはいません。そこに、素材生産者と、家具製造者の摩擦があります。だから、「山に来てよ」。
山に来てもらえば、いろんな樹種の木がどのように生育しているのかが一目で分かります。
”今まだ細くて板材に向いていない”や、”欲しい材が難所に生えている”など、自然の素材ならではの理由で、どうしたって品質の不揃いや価格の変動がありえるのです。それを使い手に理解をしてもらえないと、広葉樹の山づくりは事業として継続していくことが難しくなります。
家具屋が森に来て、今の森の状況を見て、細い木が多いことを知れば、”太い材をとることが難しい”ということが分かります。そこで、小澤社長は家具屋にいいます。「もっと太い材が欲しければ、僕じゃなくて、息子にお願いして」。
広葉樹が用材になるには成長が遅く、まだあと30年ほどかかります。それでは人間の老いの方が材になるより早いのです。木のものづくりというのは、材を育て、使えるまで木が育つまでの長さで考えると本当に気の長い話なのです。
素材の価格や品質を揃えれば、良材なんか収穫量の1割ぐらいにしかならない世界です。
しかし例えば、お皿を作りたい家具屋が山にきて、どういう木目や太さ、どうやって木取るかといった完成をイメージして木を選べば、自然素材ゆえの不揃いを個性あるものづくりに変えることが出来るのです。
 

|根尾の山には豊かな森林資源がいっぱい

根尾開発では、自社が管理する山で町おこしをしたいと考えています。
筆者が参加した森林見学では、私たちが来るのに合わせて、広葉樹の森に物見台をつくってくれていました。

【物見台、訪問の前日に雨の中作ってくれました。本当にありがとうございます】
 

この日は6月上旬でしたが、夏日で暑い一日でしたが、物見台には、ブナやナラなどが四方を囲み、爽やかな高地の風が吹くおかげで、とても涼しく、また野鳥のさえずりと葉の揺れる音だけに包まれ、穏やかで心地のいい森林浴を楽しむことが出来ました。今回、美味しい珈琲とお菓子をいただきながら、根尾の山づくりについていろいろ伺うことが出来ました。
根尾の山を今後、こうした森林浴をイベントにしていきたいと話していました。
広葉樹は四季折々の表情を見せてくれます。夏には避暑、秋には紅葉とおいしい木の実やきのこを楽しめます。秋には栃の実が収穫でき、沢まで下りていくと、栃の実が集まる穴場があり、それをたくさんとって栃餅をつくって食べる。そんな実りの秋もこの山の魅力です。
根尾の山を見せていただいて、まだまだ活用できる森林資源はたくさんあると感じました。
暑い夏、根尾の山が豊富な森林資源を皆さまに披露できる日も近いのではないでしょうか。
 


【美しいブナ林】

【ブナ林の中を散策】

【森一帯にはシカが多く生育しており、シカのフンが見つかりました】
 

根尾開発
代表者 小澤 建司
所在地 本巣市根尾樽見27番地の7
電話  0581-38-2353
NeoWoodsHP http://neowoods.jp/
【根尾開発とは】
根尾開発は、本巣市根尾地区を中心に林業を営んでいます。現在、木材価格は40年前に比べると4分の1程度の価格にしかなりません。しかし、CO2の吸収してくれるのは森林だけです。そんな森林を、100年先まで繋げてあげるのも私達の仕事なのです。その仕事に誇りを持ち、今現在の技術を伝承しまた、海外にも目を向け新たな取り組みも展開していきます。
(公益社団法人 岐阜県森林公社 森のジョブステーションぎふより出典
 https://gifu-shinrin.or.jp/company_info/20190209


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