2018年 9月 のアーカイブ

Posted on 2018/09/25 by KAKUKI PROJECT

森林を守ってきた日本の林業はとても苦しい

日本人の生活の根幹を支える、国内の農林水産業。とても重要な産業であるのに、昨今の天変地異、担い手不足、適正価格で売れない…などという長く苦しい時代が続いているといいます。
林野庁のHPでこのように林業の現状についてこのように紹介されています。
 
” 山にある木の価格は、50年間も育てたスギの木で1本2千円くらいにしかならない。
20年前に比べると3分の1まで安くなってしまったけど、山で働く人に払う給料は逆に1.5倍くらいになっているから、木を売って稼ぐ林業は儲からなくなってしまった。
 日本の森林は急な斜面にあるし、林業をやっている人ひとりひとりが持っている森林も小さい。だから、木材をつくる作業に手間がかかるし大きな機械も使いづらくて、たくさん費用がかかってしまう。平らでとても広い森林から、大きな機械で木を伐(き)り出す外国にはかなわない。 だから、木も伐られなくなってしまったし、森林の手入れもしっかりできなくなってしまった。森林は、育った木をきちんと使ってやることが大切なのに。”
 
全文引用:林野庁 森林・林業白書 > 「森林を守ってきた日本の林業はとても苦しい」より
 
 
国産材の需要と供給量は、2005年(平成17年)時点で1,790万m³、2016年(平成28年)時点では2,714万m³でした。10年間で924万m³の増加です。【図1】しかし、価値の高い無垢の柱や建具に使用されるA材の丸太1m³の価格は、2005年時点では12,400円、2016年時点では12,300円と10年経ってもほとんど変化がありません。【図2】丸太が取引される量は全体として増えているのに、A材の取引価格は変わらない。しかも、一方では人件費が上がっているので、地域の林業をとりまく経済は非常に厳しい環境にあると言われます。
 
取引価格が上昇している丸太市場もあります。国策の森林資源活用の推進により、近年は集成材やCLTなどが多く使用される中大規模建築の木造化が増えています。また成長途中の細い材を間伐したあとの利用拡大に、集中して技術開発や産業育成に力を入れてきたなどの背景から、国産材を活用した集成材や合板が増えました。その使いやすさや強度などの品質安定が認められたこと、外材価格の高騰による後押しもあり、国産の集成材や合板に使用されるB材の丸太1m³の価格は、2010年では8,500円だったのに対して、2016年には10,000円まで上昇しています。
素材生産の現場では、無垢の柱や建具に使用されるA材が取れる、良質な太い木が多く育っています。時間と手間をかけた価値のある材が適正価格で取引されることが重要です。儲けを得て、次の山づくりの資金に充てられ、私たちの子ども、孫へと続く持続可能な森林づくりが実現されていきます。
  

図1

図2

私たちはいつまでも美しい山のある景色が残ってほしいと願っています。育った木をきちんとつかってやることが大切、とあるように、良質な太い原木が、高い価値で取引されることが重要と考えて、高付加価値の機能性木材として新たな市場の開拓に取り組んでいます。
スギやヒノキの軟質な木を広葉樹のような硬質な木に変える「圧密技術」を活用した商品開発を行い、そこで生まれた商品に「Gywood」があります。
 
「Gywood」はスギに表面のみを硬質化できる新しいテクノロジーを活用しており、スギの素材の特徴である軟らかさや軽さ、温かみを残したまま、表面のみ広葉樹のように硬いという、特殊な性質をもつ無垢素材です。Gywoodでは一枚板や、2枚接ぎの板、床やデッキといった商品を作っています。
とても質の良い綺麗な一枚板がとれる大径の杉が、採れ時を迎えていて、一枚板や2枚接ぎの幅広の木を生かしたものはとても美しい仕上がりになっています。
床やデッキにしても、軽くて内部は柔らかいのに表面が硬いので、釘効きがよく施工性が非常にいい特性があります。

新しい木材である「Gywood」に、ぜひ注目してみてください。
 
Gywoodはこちらから商品紹介MOVIEをご覧いただけます。

 
Gywoodはナイス株式会社と後藤木材株式会社が共同開発しています。
 

Posted on 2018/09/10 by KAKUKI PROJECT

ものづくりで森づくりネットワークでつながる、放置された森の活用

fuu+017(フータスジュウナナ)の江口玲奈さんが取り組む、林地残材の活用は「放置された森を活用したい」と取り組む多くの人の活動によって支えられています。山の持ち主の方、森林計画を立てる方、木を伐採する方、搬出する方、製材する方、そして小物や家具などの最終製品をつくる方・・・。
江口さんが用いる林地残材の材料を追って、その先の森での活動に目を向けてみました。
 
>>>fuu+017(フータスジュウナナ)の江口さんの木の小物づくりについてはこちらの記事をお読みください。
 
 
|ものづくりで森づくりネットワーク
  

江口さんは、ものづくりで森づくりネットワークと連携して、「ものもりの森」から運び出した林地残材を使い、素敵な木工小物の製作に取り組んでいました。
 
「ものもりの森」は、郡上市白鳥六ノ里の大洞峠(おおぼらとうげ)は標高1,000m超、多様な樹種で構成された100年生の広葉樹二次林です。
尾根部で、生えている木は痩せているという山でしたが、山主さんがいい森にしたいと願い、2005年から「ものづくりで森づくりネットワーク」という団体を立ち上げ、山主・木こり・木工家・研究者などが連携しながら、持続可能な広葉樹の森づくりとその活用を実践するプロジェクトがスタートしました。
そして「ものもりの森」という愛称で、この山の木の活用に取り組みます。メンバーは代表で森林コーディネーターの山口さん、木こりの澤田さん、中濃総合庁舎で森林計画を担当する塩田さん、山主さんらが中心となって活動していて、岐阜県美濃市にある岐阜県立森林文化アカデミーやNPO法人グリーンウッドワーク協会らと連携し、ものもりの山をフィールドとして、放っておいて荒れてしまった山の管理と活用に取り組んできました。
ものもりの森には数十種類の木が自生しています。最近では、この山の木をものづくりで活用しようというプロジェクトに共感した、学校法人自由学園女子部(東京都・豊島区)によって、女子部の生徒らが使用する学童机の天板100セット分の材料として使われました。このプロジェクトでは、製作場所に自由学園の木工室を活用し、生徒が使う机だからこそ、東京の作り手さん、生徒らが製作を行いました。また机を使う女生徒達をものもりの森に招いて、森のこと、木のことを知るワークショップが行われました。
 

自由学園女子部に納められた「ものもりの森」の材料で、女生徒が使う机が作られました。
 
 
このような活動を通して、持続可能な広葉樹の森づくりとその活用がすすめられています。その行く先、将来は300年生の森に育てよう!と壮大な夢と希望を持ち、山主・木こり・木工家・研究者や若い学生らと連携し、森の未来につながる活動はこれからも続きます。
 
 
こうした森の活用について学べる講習が、岐阜県立森林文化アカデミーで開催されています。
こちらでは、より森に親しみを感じられると思います。生物、生態系の営みの深さに感動したり、風や香りの心地よさに癒されたりしに行かれてはいかがでしょう。
森の活用は、まずはその森の現状を知ることからと思います。一般からも参加が出来るので、ご興味がありましたら参加してみてはいかがでしょうか。
 
「木と森のオープンカレッジ」
https://www.forest.ac.jp/events/?slug=opencollege
 
 
参考:Facebookものづくりで森づくりネットワーク
https://www.facebook.com/monomori.net/ 
 

Posted on 2018/09/05 by KAKUKI PROJECT

fuu+017(フータスジュウナナ)で木の小物づくりについて聞いてきました。

郡上市八幡町に行ってきました。ここは日本一のロングランと、お盆(8/14-16)の徹夜踊りで知られる郡上踊りの町です。吉田川を中心に生活街が発展した地域で、名水スポットの宗祇水(そうぎすい)や水舟など生活と密接に水の文化が根を張っています。
 

綺麗な水と山に囲まれた自然豊かなところです。地元の暑い夏の過ごし方はもっぱら川!
 

宗祇水。名水スポットです。 出典:https://www.kankou-gifu.jp/spot/3485/
 

郡上八幡は明日から徹夜踊りで、町中観光客や、郡上踊りのちょうちんでにぎやかでした。
 
 
この町に、とてもかわいい木の小物を製作している木工作家さんがいます。 
fuu+017(フータスジュウナナ)の江口玲奈さんです。
 
 

 

店内。となりに作業場があります。
 

かわいい小物の数々。江口さんがひとつひとつ手作業で制作した小物が並びます。
 
 
 |モノづくりの道
 
江口さんは、木工を志し、岐阜県高山で木工の学校に通います。ここで2年、自分と同じくモノづくりが好きな仲間と過ごします。その後、北海道の木工メーカーで5年、実務経験を積み、独立のため自分に合った工房を探し始めました。
 
修業時代過ごした高山は、木工文化が根強く、材や機械などの調達がしやすいこともあり、高山に近い立地という条件で建物を探して、今の工房に出会います。
この工房は、一般財団法人 郡上八幡産業振興公社 チームまちやが運営する「城下町トライフ」というWebサイトで家主を募集していた建物でした。
空き家になった建物でお店や工房として借りたいショップオーナーを探しており、1階はすでに内装を撤去しスケルトンの状態で、借主が好きな内装に改修可能という物件でした。
ここを借りることにした江口さんは、自分でお店と工房の内装を仕上げ、ナチュラルでこじんまりとした自分ならではのお店に仕立てました。お店の隣が工房になっており、作業と並行してお店をやっています。2階が居住スペースになっています。
 
江口さんの移住についてと工房兼お店が、改修されていく様子が下記に紹介されています。
Webサイト:城下町トライフ 事例紹介 http://machiya.gujohachiman.com/interview/589
 

器や、ブローチ髪飾りなどの加工に用いる旋盤機械
 

作業中の木のかけら。磨いてブローチや髪留めなどになる。
 

林地残材。器に加工するように木取りして乾燥させている。
 

材料。小物などの材料はこうした素材からつくられている。
 
 
|作品に対しての思い
 
江口さんは作品に対して、ひとつひとつの木のかけらを見て、「どんなふうにしたらかわいくなるかな?」と考えながら仕上げているそうです。
同じ木から、同じものを切出しても、そのひとつひとつの表情は全然違います。磨いていくと木目や色合いに個性がはっきりと出てくるので、かわいくて愛着が湧いてきます。
だからこそ、木の素材の面白さや、磨いた後の可愛さをそのまま伝えたいと思い、余計な飾りはしないことを心がけているのだと。
また、木の良さをより多くの人に伝えたいと思っています。価格も手の届きやすい価格帯にすることで、木の小物を暮らしの身近に取り入れてもらえるようにしています。
 

江口さんの作品はとてもナチュラルでシンプルで曲線のかわいらしいフォルムが特徴です。
木や作品に対する愛情とこだわりが、いっぱい感じられます。
出典:http://woodworkers.jp/program/2018-2/program-953
 
 
|作家だからできる、林地残材の活用
 
fuu+017は、6月1日(金)から6月10日(日)、木工家ウィークNAGOYAに参加しました。
「木工家ウィーク」は、木の家具から始まる豊かな暮らしのあり方を、木工家と共に考えるイベントです。
参加したグループ展示では「モリノコエ」というタイトル、「林地残材」の活用というテーマで出展しました。使用した木は、市場には出回らない採取量の少ない木です。でも市場には出回らないだけで、いい木があるのです。展示会には厳選した5種類の樹種でつくった小物を展示しました。
 
 

「アズキナシ」。名前も面白いですが、表情も面白く、サクラに似た色と質感で加工もしやすいです。
 

「コシアブラ」。山菜で食べたこともあるのではないでしょうか。その木は軟らかめで、辺材は白く、芯材は黄緑がかっています。
 

「シデ」。柾目の表情が個性的で、ナラにみられる「ふ」のような模様が現れます。
 

「シナ」。化粧合板などでよく使いますが、白くて木目の特徴がない印象があるのではないでしょうか。軟らかい木なんですが、実は磨くと光沢が出るんですよ。
 

「アオハダ」。赤い実がつく樹木でも人気の木です。加工がしやすく白く光沢のある木です。特徴の少ないおとなしい木ですが、小口に変わった模様が出るのが面白いです。
 
このように林地残材は、面白い木があります。市場では価値の無い木でも、作家として個人のものづくりで活用することで価値を見出すことができると思います。他では使わない珍しい木を使うという、価値の高いものづくりにもなります。こうした地産の木を活用したものづくりをこれからもやっていきたいと思っています。
  
 

林地残材が入ったという連絡を受けて、木工家ウィークの展示制作用に造材してもらいます。
 

岐阜市椿洞にあるツバキラボにて製材します。
 

製材して出来たアズキナシの材料たち。
  
 
江口さんがつくるモノづくりは、そのモノを通じて、消費者と未来の山の保全・豊かな資源が育つ森づくりをつなげています。
かわいくて、珍しい木を使った木の小物は、fuu+017さんならではです。ぜひ郡上に訪れた際は、お店を覗いてみてはいかがでしょうか?
 
 
*お店情報*
fuu+017(フータスジュウナナ)

住所:岐阜県郡上市八幡町島谷591−1
   ※お店に駐車場はありません。観光駐車場、コインパーキングをご利用ください。
お問い合わせ: fuutasujuunana@gmail.com

*出店情報*
\こちらのお店でもfuu+017の商品を取り扱っています!/
・道の駅 明宝 :岐阜県郡上市明宝大谷1015
・kibako :岐阜県郡上市八幡町橋本町914-1
・器用人  :岐阜県郡上市八幡町新町942
 
\イベントに出店しています!/
毎月第三日曜日開催
サンデービルヂングマーケット  :岐阜県岐阜市日ノ出町2丁目25あたり(岐阜高島屋周辺の商店街アーケード下)
 
\ネット販売しています!/
・クリーマ https://www.creema.jp/c/fuu017
・ミンネ  https://minne.com/@fuu017