2017年 1月 のアーカイブ

Posted on 2017/01/25 by KAKUKI PROJECT

製材用バンドソー(帯鋸)の目立て

今回は「鋸(のこ)」の目立てをする会社に取材に行ってきました。岐阜県各務原市の木材団地にあるソーテック小澤、創業から40年来続く目立て屋です。規模としては小さな組織ですが、1日で出来る目立て生産量は30本に及びます。そのほか集荷もし、配達もするということで、めまぐるしく仕事をしています。バンドソーとは「帯鋸(おびのこ)」ともいい長さが7から9メートルほどある長い帯状の鋸のことをいいます。新しいものは幅が15センチほどありますが、どんどん削れて幅が小さくなっていきます。数ミリづつ刃を減らしていき、幅が7割まで縮まった頃、その刃が安全に使用できる寿命となります。製材所では1日に2回刃を交換、時には木の中に鉄などが入っていると一回で刃がこぼれてしまいます。
製材にとって刃は命です。きれいに整った、そして切れ味のよい刃の「鋸」がなければよい製品は作れません。刃こぼれした帯鋸を切れ味のいい刃に仕立てることが目立てであり、とても重要な仕事です。

 

|目立ての基本知識
 
鋸の切れ味の良さは、実は丈夫で鋭い刃だけが重要なわけではありません。
製材する際、帯鋸は鋸車に取り付けられます。鋸車によって鋸が回転することで、大きくて太い、硬い丸太でも、すーっと切ることができます。
1日の仕事を終えた帯鋸は、鋸車との摩擦や、木材に押されるなどで帯鋸の鋸身に狂いが生じ、鋸身が凸凹と歪んでいるため、ロール機で歪みを補正していきます。
それから「ヒートテンション」や「腰入れ」をします。ヒートテンションや腰入れは、鋸身に熱やプレスを加えることで鋼の強度を強くするものです。この強度は製材機の癖に合わせる必要があり、職人の勘と経験が製材の挽きの出来を左右する、とても繊細で重要な作業です。こうした作業を経て、鋸車から鋸が外れないように、挽き曲がりが起きないようにします。
次に刃先を強くする作業も行います。
目立てと言うのは刃の切れ味をよくするため、砥石にかけ刃を立てることです。
帯鋸、バンドソー本体は炭素鋼でできていますが、その刃先を研ぐだけでは切れ味が悪いのです。そこでその先に「ステライト」という合金を肉盛りし、それを加工し、刃にしていきます。1900年頃にフランスで硬いアフリカ産の製材するため、この技術は発明されました。その後日本にも定着するようになります。
バンドソーの刃先の加工形状には様々なものがありますが、材木に関しては「台形刃型、トラべゾイド」という形状が一般的です。製材用の帯鋸は、4インチから8インチ(10センチから20センチほど)の幅と、厚みは22ゲージから 17ゲージ(0.7ミリから1.45ミリ)が規格として決められています。
 
名称と特徴
名称と特徴2
 
出展:http://metate.co.jp/?m=wp&WID=1439
有限会社 岩崎目立加工所
Iwasaki Saw Filing Corporation

 
 
|目立ての加工手順
 
新たなバンドソーを作る場合
1 15センチ幅ほどの鋼を輪っか状にして溶接
2 ヤスリで刃先を削る 
3 ロール機で歪みを直し、ヒートテンション、腰入れ
4 ステライトを刃先一つ一つ機械で自動溶着
5 刃先を一つ一つ研磨
6 束ねて出荷

 
 
帯溶接
帯鋸を輪っか状にして溶接。
 
ステライト溶接1
刃の先端(アサリと呼ばれます)にステライトを溶接。
ステライトは熱の耐性が強く、刃の剛性を高めます。
 
溶接3
小手先から刃先に向けてステライトを盛り付ける。
ステライトを正確に刃先に溶接しないと、刃を痛める
恐れがあり難しい作業です。
 
溶接2
ステライトが盛り付けられた帯鋸の刃先。
 
研磨
刃先を研磨。
   
  
昔は各工場が自前でこの作業を行っていたところも多くありました。自動化も進み、安価に目立てができるようになった今では、地域の専門の業者に頼むのが最も効率がよく、一般的のようです。自動化も進んでいますが、まだまだ職人の技術が必要な職種ではあります。
しかし仕事量の不安定さと仕事の難しさもあり、なかなか継承者が作れないという悩みもあります。最近ではステライトを肉盛りする代わりに、替え刃鋸と言う、先だけを付け替えていく方法も生まれています。この刃は同じ刃を再生研磨で繰り返し使えて使用寿命が約2倍ほど長い、かつ刃先の取り付けに専門技術を必要としない画期的な方法です。職人不足の対応策として期待されていますが、木材には石や鉄が混入していることが多く、そのたびに刃が欠けると、寿命が長くても結果的に刃を付け替える頻度が増え、その手間と経費が従来より高くなる課題もあると聞きます。
 
ともあれ、こうした合理化への取り組みと職人不足という問題は難しい課題です。技術の革新という前向きな行為が、職人の技術の低下やプライドを失わせたり、最後には職をなくしてしまうというネガティブな状況を作ってしまっているのも事実です。一度なくした職人の技術は世の中から消えてしまいます。似たような状況は建築のあらゆる職種でも起きていると言えそうです。
今回は帯鋸についての取材でした。あらためてこの仕事の重要さと課題を考えさせらえた気がします。
 
みなさんはどのように思いますか。是非ご意見お寄せください。

 
 
目立て2
 
ソーテック小澤
  製材用帯鋸加工販売
  メタルソー・チップソー研磨 
所在地:岐阜県各務原市須衛町7丁目岐阜木材団地内
TEL:058-384-8717